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自動車保険の基礎知識

自動車保険の等級とは?割引率や引き継ぎについてわかりやすく解説

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自動車保険の等級制度は、保険料を左右する重要な仕組みです。
この制度を正しく理解することで、保険料が変わる仕組みの理解を深めることができます。

本記事では、等級制度の基本的な仕組みから、保険料に影響する割引率、等級の引き継ぎ方法、さらにはよくある疑問まで、わかりやすく解説します。
これから自動車保険に加入する方も、見直しを検討している方も、ぜひ参考にしてください。

自動車保険の等級制度とは?

等級の基本的な定義

自動車保険の等級制度とは、運転者の事故による保険金請求実績に応じて保険料の割増引率を適用する仕組みです。

等級は通常「1等級」から「20等級」までの20段階に分かれており、等級が上がるほど保険料の割引率が高くなります。逆に、等級が低くなると割引率は下がり、特に「4等級」以下では保険料が割増しとなります。

この制度は、安全運転を続けるドライバーには「報奨」として保険料の割引を、事故を起こした場合には「リスクに応じた負担」を求める、合理的な仕組みとなっています。

等級の役割と重要性

等級は、自動車保険の保険料を左右する重要な要素のひとつです。
等級が高いほど「事故リスクが低い」と判断され、保険料に割引が適用されます。逆に、事故を起こすと等級が下がり、保険料が上がるため、安全運転を心がける強い動機にもなります。

一度上がった等級は、事故を起こさない限り下がることはありませんので、長期間その恩恵を受けることができます。

自動車保険の等級はどうやって決まるのか?

個人向けの自動車保険=ノンフリート契約の等級(1~20等級)

ノンフリート契約とは、契約者が所有または使用する自動車の保険対象台数が「9台以下」の自動車保険契約を指します。

この契約には「ノンフリート等級制度」が適用され、等級は「1等級」から「20等級」までの20段階で構成されています。初めて自動車保険に加入する場合は、通常「6等級」からのスタートとなります(契約条件により異なる場合があります)。

保険期間中に事故がなければ、1年ごとに等級が1つ上がり、それに伴って保険料の割引率も高くなります。一方、事故が発生すると等級が下がり、保険料が割増となる仕組みです。

契約が1年更新の場合、更新時に等級が変更されます。長期契約(複数年契約)の場合は、等級の扱いや計算方法が保険会社によって異なる場合がありますので、詳しくはご契約の保険会社にご確認ください。

等級の確認方法(自動車保険証券の位置など)

現在の等級は、自動車保険の保険証券で確認することができます。
保険証券には「等級」欄があり、そこに現在の等級が明記されています。この等級を確認することで、適用されている保険料の割引率や、来年度の保険料の見通しを把握することが可能です。

もし保険証券が手元にない場合でも、保険会社の公式ウェブサイトのマイページや、カスタマーサービスに問い合わせることで、等級を確認することができます。

事故歴に応じた等級の変動

事故により保険金を請求した場合、その内容に応じて自動車保険の等級が変動します。ただし、すべての事故や請求が等級に影響するわけではありません。
事故により等級が下がると、「事故有」の割引率が適用され、同じ等級でも「無事故」と「事故有」では割引率に差が生じます。
等級が下がるとそれに伴って保険料の割引率も低下するため、次年度以降の保険料が大幅に上がる可能性があります。事故の際には、保険を使うかどうか慎重に検討することが大切です。

同じ等級でも割引率が変わる「無事故・事故有」区分

無事故時の保険料の割引率

無事故であれば等級が上がり、割引率も段階的に増加します。安全運転を続けることで大きな保険料の節約につながります。

一例として東京海上日動の等級別割引率をご覧ください。

※ 本記載は東京海上の2025年1月1日改定を反映しています。

【等級毎の割引・割増】
初めてご契約いただく場合

等級 初めてのご契約
(6等級(S))
複数所有新規特則
(7等級(S))
割増引率
(%)
3%割増 38%割引

上記以外の場合

等級 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20
割増引率(%) 事故有 108 63 38 7 2 13 27 38 44 46 48 50 51 52 53 54 55 56 57 63
割増引率(%) 事故無 14 15 18 19 20 22 24 25 28 32 44 36 50 51
割増 割引

※ 「割増」は保険料が高くなる、「割引」は保険料が安くなることを意味します。

出典:https://faq.tokiomarine-nichido.co.jp/faq/show/637?site_domain=default

事故有時の保険料の割増率

事故を起こすと等級が下がり、それに伴って保険料が割増されます。事故の種類は大きく以下の3つに分類されます。

  • 3等級ダウン事故
    等級が3段階下がります。主に車両保険・対人賠償保険・対物賠償保険などで、契約者に責任がある事故が該当します。
  • 1等級ダウン事故
    等級が1段階下がります。盗難、台風、飛び石など、偶発的な自然災害や不可抗力による損害に対して車両保険を使った場合などが該当します。
  • ノーカウント事故(ノーカント事故)
    等級には影響しません。人身傷害保険、弁護士費用保険、個人賠償責任保険などの使用が該当します。

特に3等級ダウン事故は1等級ダウン事故よりも保険料への影響が大きく、年間で数万円単位の保険料負担増となることもあります。
このため、事故を未然に防ぎ、等級を維持することが長期的に保険料を抑えるポイントとなります。

等級の引き継ぎ方法

等級を引き継げるケース

契約者が変更になっても、契約車両を主に運転する方(記名被保険者)が変わらなければ、等級は引き継ぐことができます。
例えば、車を買い替えたり、保険会社を変更した場合でも、等級はそのまま引き継がれるので安心です。

また、記名被保険者を変更する場合でも、同居のご家族であれば等級の引き継ぎが可能です。
詳細については、こちらのページをご確認ください。

等級を維持する・上げる方法

無事故で等級を維持するためのポイント

等級を維持するためには、安全運転が何より重要です。定期的な車両点検を行い、運転中は注意深く交通ルールを守ることが大切です。近年では、ドライブレコーダーや車の先進的なドライブアシスト機能を活用することで、物損事故や対人事故のリスクを減らすことができます。
また、過去に事故歴があっても、その後は無事故を続けることで等級を回復させることが可能です。

等級を上げるための運転習慣

等級を上げるためには、事故を防ぐための安全な運転習慣が欠かせません。具体的には、十分な車間距離を保ち、信号を遵守し、急ブレーキや急発進を控えるなど、日頃から慎重な運転を心がけましょう。

自動車保険の等級に関するよくある疑問

事故後、新規契約した場合の等級リセットについて

保険会社を変更して契約する場合でも、過去の事故歴は保険料や等級に影響します。特に、過去13か月以内の事故は契約時に保険会社へ必ず申告しなければならない「告知事項」に該当します。そのため、運転を続ける限り、等級がリセットされることはありません。

万が一、等級が1等級から4等級まで下がってしまった場合でも、制度上は13か月間運転を控えることで6等級に回復し、次の契約が可能となります。ただし、その間は車を運転できない不便があるため、周囲の方とよく相談のうえ、最適な選択をしてください。

貸りた車で事故を起こした際の等級への影響

レンタカーや知人から借りた車を運転中に事故を起こした場合でも、ご自身が加入している自動車保険の等級に影響が及ぶことがあります。
事故の内容や保険の契約条件によりますが、事故による保険金請求があった場合は、等級が下がる可能性がありますので注意が必要です。

貸りた車を運転する際も、安全運転を心がけ、万が一の事故に備えて契約内容をよく確認しておくことが大切です。

別居している子どもへの等級の引き継ぎ

等級の引き継ぎは、契約車両を主に運転する記名被保険者と「同居のご家族」が対象となります。そのため、別居しているお子さまへは等級を引き継ぐことができません。

まとめ

自動車保険の等級制度は、運転者の事故歴に基づいて保険料を決定する重要な仕組みです。等級を維持するためには、安全運転を心がけ、無事故を続けることが大切です。また、等級は引き継ぐことができるため、車の買い替えや契約者の変更、運転の一時中断などの場合にも、適切な手続きを行うことが重要です。

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