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自動車保険の基礎知識

車両保険ってちょっとの傷でも使った方がお得?

車両保険ってちょっとの傷でも使った方がお得?

車両保険って?

車両保険は、契約車両が損害を負った時に、車両を修理にかかる費用を補償する保険です。自損事故であっても、保険を使って修理することができます。、また相手のある事故の場合、過失割合によっては損害額のすべてを相手から受け取れないケースもあり、その際は車両保険を使って修理することができます。
車両保険では、他の自動車との事故に限らず盗難や風水害など、地震や津波や噴火以外の自然災害による損害に対しても補償が受けられます(地震・津波・噴火による車両全損時一時金特約を付加することも可能です)。一般タイプの車両保険では、自分でつけた細かい傷や凹みの修理も補償されます。
しかしながら、車両保険に限らず自動車保険から保険金を受け取る際には注意すべき点があります。自動車保険から保険金を受け取ると、翌年以降も保険料が上がるケースがあることです。 

車両保険の契約率は?

車両保険の詳細を説明する前に、どれくらいの方が車両保険をつけているのか、その割合を見てみましょう。下記はドコモスマート保険ナビで2024年4月から2025年3月までに自動車保険をご契約いただいた方の車両保険の契約率となります。表を見ると、3人に2人がご契約いただいていることがお分かりいただけると思います。

年代 車両保険
なし
車両保険
あり
10代 50.70% 49.30%
20代 44.00% 56.00%
30代 35.90% 64.10%
40代 35.30% 64.70%
50代 36.80% 63.20%
60代 37.10% 62.90%
70代以上 46.10% 53.90%
37.30% 62.70%

新車や高級車に乗られている方は、車両保険を付けておいた方がよいのはもちろんですが、年数がある程度経っている車であっても車両保険は付けておいたほうが安心です。車両保険を付けると、当然保険料は上がりますが、車両が大きく損壊してしまった場合など、修理費用が高額になるケースであっても、車両保険から受け取れる保険金で車を修理できるからです。

車両保険ってちょっとの傷でも使った方がお得?

ただし、車両保険には注意点もあります。車両保険から保険金を受け取ると、事故の原因や形態によっては等級がダウンすることがあります(車両保険を使わなければ、等級が下がることはありません)。
車両保険を利用したことで等級ダウンや事故あり等級(事故有割引率が適用)となると、翌年以降の保険料が割り増しされます。
そのため、自動車保険を利用する際には、自動車保険を使った場合と使わなかった場合の保険料を試算してもらい、保険金との差額を比較して判断するのが望ましいです。その際には、翌年1年目だけでなく2年目、3年目も含めて試算し、比較するようにしてください。少額の保険金請求の場合、受け取れる保険金額以上に翌年以降の保険料が上がってしまうケースもあるため、請求を放棄したほうがトータルコストは抑えられる場合もあります。
特に一般タイプの車両保険では、自分でつけた細かい傷や凹みの修理も補償されますが、自動車保険から保険金を受け取ってしまうと、等級がダウンします。そのような軽微な傷については車両保険を利用せず自費で修理した方が経済的と言えるケースも多くなっています。軽微な傷での修理代として何度も車両保険を利用すると、等級ダウンが進んで保険料が高くなりますし、保険金請求の頻度が高いと、次回の更新時に保険を引き受けてもらえなくなる可能性もあります。

「免責金額」ってなに?

上記を踏まえ、車両保険の保険料を安くする方法もあります。免責金額を設定することです。免責金額とは、修理にかかった費用の内、自分自身で支払う金額のことです。
例えば、免責金額10万円としていて修理代が50万円というケースでは、10万円を自己負担して残り40万円を保険から支払うことになります。免責金額を高く設定すればするほど保険料は安くなります。免責金額は5、10、20万円などのいくつかの選択肢から選べますが、軽微な傷では車両保険を利用しないという前提であれば、免責金額を設定するのも一考です。

ファイナンシャルプランナーによるコメント

車両保険は、自分の車の損害を幅広く補償してくれる安心感がありますが、 小さなキズ・凹み程度の修理費用で保険を受け取ってしまうと、等級が下がって翌年度以降の保険料が大きく上昇する可能性があります。 相手をケガさせてしまったり、車を修理する場合は3等級ダウンしますので、保険金で修理しようと考える前に、翌年以降の保険料と必ず比較しましょう。少額の修理であれば、保険金を使わずに自費で直したほうが安く済むケースも多いからです。一方、免責金額を高めに設定して保険料を抑える考え方もあります。事故を起こした時、自分が無理なく支払える金額はいくらかを考えて、免責金額を設定することをおすすめします。

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監修者 畠中 雅子
(はたなか まさこ)
Webサイト ファイナンシャルプランナー 畠中雅子のミニチュアワールド見学ブログ+観光列車乗車ブログ
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プロフィール ファイナンシャルプランナー(CFP®)。大学時代にフリーライター活動をはじめ、1992年にファイナンシャルプランナーになる。FP資格取得後は、数多くのメディアへの寄稿や監修業務。セミナー、相談業務などを行う。メディアへの掲載、登場回数は1万回を超えている。著書は「70歳からの人生を豊かにするお金の新常識」(高橋書店)ほか、70冊を超える。大学院在学中にソルベンシーマージンに関する論文を執筆したことから、保険分野の仕事も数多く手がけている。

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