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自動車保険の基礎知識

自動車保険の補償や特約が重複していないか確認して、保険料を節約しましょう

「弁護士費用補償特約」「ファミリーバイク特約」「自転車事故補償特約」など補償や特約の重複を見直せば、保険料が下がることがあります。

自動車保険には、基本的な補償に加えて、オプションプランとしての特約を付加できますが、同居している家族の車1台に付帯されていれば他のすべての車で事故を起こした場合でも補償される特約がいくつかあります。また、自動車保険以外の保険で補償されることもありますので、補償や特約の重複を見直せば、保険料が下がることがあります。

どんな補償や特約に気を付けるべきか?

まず気を付けたいのが「弁護士費用補償特約」「ファミリーバイク特約」「自転車事故補償特約」の3つです。
他の自動車保険契約に上記特約が付いている場合は、2台目以降の契約に付けても、補償が上乗せされるわけではありません。損害保険分野の支払いは、あくまで実際の損害額が保険金の上限額になるからです。また、「ファミリーバイク特約」は個別に契約しているバイク保険、「自転車事故補償特約」は個別に契約をしている傷害保険、交通傷害保険や自転車保険と補償範囲が似ているため、重複して加入していないかを確認しましょう。
ただし、他の保険に補償がついていたとしても、特約が付加されていた契約を解約されたときは、補償がなくなることに注意が必要です。さらには、同居していた親族が別世帯へと変わり、その人が特約の付いている契約を引き継いだ場合も、補償の対象外になります。重複している特約を整理することは大切ですが、定期的に補償の範囲が適切であるかの確認も必要です。

「個人賠償責任特約」の重複はメリットも

「個人賠償責任特約(以下、個人賠償補償)」は、火災保険や自動車保険、ペット保険にもついていることがありますが、それぞれの保険によって保険金額の上限額が異なります。仮に何らかの理由で2億円の賠償責任を負ってしまった場合、火災保険で契約をしていた個人賠償補償からは1億円しか払われない場合、別の個人賠償補償から残りの1億円が支払われるという仕組みです。そのため、今契約をしているペット保険の個人賠償補償の保険金額が仮に1000万円であった場合、自動車保険で1億円の個人賠償に入っておけば、合計で1.1億円まで支払いを受けられます。もしくは金額が小さい個人賠償ははずして、大きい金額だけにすることで保険料を抑えられます。
ただし、保険金額が無制限としている個人賠償補償もあります。その場合は、ひとつの保険で充分なので、他の個人賠償補償は解約するのが適切です。

「人身傷害保険」の重複について

人身傷害保険の補償も重複を避けて、保険料を節約しましょう。

ファイナンシャルプランナーによるコメント

家族で複数台の自動車保険を契約していると、特約が重複していて保険料を無駄に支払っているケースがあります。「弁護士費用補償」「バイク特約」「自転車事故補償」などは重複しやすい補償の例で、整理することで保険料が節約できる可能性があります。ただし、整理する際は、保険期間にも注意しましょう。自動車保険のように、車を手放すまで、保険契約が続く保険に付加されている場合はよいのですが、何年か後にバイクを手放す可能性があるのに、バイク保険に必要な補償が付加されている場合は、バイク保険ではなく、他の保険に特約を付与するのが安心です。
いっぽう、「個人賠償責任特約」の補償額は、複数契約で補償額を合算できるメリットがあります。賠償責任については、事故ごとに保険金額が決まり、その金額が見積もれないだけでなく、1億円を超えるかもしれないリスクもあるため、できるだけ高額の補償額を得られる方法を検討したいところです。どの保険で補償を得るのが適切なのか、慎重に検討してみてください。

畠中 雅子の写真
監修者 畠中 雅子
(はたなか まさこ)
Webサイト ファイナンシャルプランナー 畠中雅子のミニチュアワールド見学ブログ+観光列車乗車ブログ
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プロフィール ファイナンシャルプランナー(CFP®)。大学時代にフリーライター活動をはじめ、1992年にファイナンシャルプランナーになる。FP資格取得後は、数多くのメディアへの寄稿や監修業務。セミナー、相談業務などを行う。メディアへの掲載、登場回数は1万回を超えている。著書は「70歳からの人生を豊かにするお金の新常識」(高橋書店)ほか、70冊を超える。大学院在学中にソルベンシーマージンに関する論文を執筆したことから、保険分野の仕事も数多く手がけている。

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