自動車保険の基礎知識
クマや野生動物と衝突したら自動車保険は使える?
各地でクマの目撃情報が相次いでいます。
山間部やけもの道だけでなく、住宅街や一般の生活道路に出てくるケースも増え、野生動物との接触事故のリスクは高まっています。もし運転中にクマやシカなどの野生動物と衝突し、車が損傷してしまったらーー自動車保険で補償されるのでしょうか。ここではその仕組みと注意点を解説します。
クマやシカなどの野生動物との衝突は車両保険で補償されます。
運転中にクマやシカなどの野生動物と接触し、次のような損害が発生した場合、車両保険で車やガードレールなどの修理費用の補償を受けられます。
- クマにぶつかってバンパーがへこんだ
- シカとの衝突でボンネットが破損した
- 動物を避けようとしてガードレールに接触した
車両保険には「一般型」と「限定型(エコノミー型など)」がありますが(※1)、野生動物との衝突は一般型であれば補償対象となります。当然のことながら野生動物には飼い主がおらず、保険金を請求する相手がいないため、車両保険の補償が心強い味方になるわけです。
一方、限定型(エコノミー)では「動物との衝突」が対象外となる場合があるため、補償範囲を事前に確認しておくことが重要です。
※1:車両保険のタイプ名は保険会社により異なります。
避けようとして起きた事故(損害)も補償の対象になることがあります。
野生動物と直接ぶつかっていない場合でも、動物を避けた結果、電柱やガードレールに衝突した動物との接触を避けるために急ハンドルでスリップし、車体が破損したといったケースは、通常「単独事故」とみなされますが、一般型の車両保険で補償されます。
ただし、限定型(エコノミー)では単独事故が補償対象外となることが多いため、注意が必要です。
受け取れる保険金は車両保険の「保険金額」と「免責金額」で決まります。
保険金の受取額は、設定している車両保険の保険金額と免責金額(自己負担額)によって変わります。
例を使って確認してみましょう。
例:保険金額300万円/免責額10万円の車両保険の場合
- ケース1:修理代が150万円
→ 保険金額の上限より修理代のほうが少ないため、免責額10万円を差し引いた140万円が支払われます。
- ケース2:修理代が350万円
→ 修理代が保険金額を超えるため「全損扱い」。免責は適用されず、保険金の上限額である300万円が支払われます。
野生動物との衝突でも基本的な計算方法は同じです。
事故に遭ったら必ず保険会社・代理店へ相談を。
「動物との事故だから保険金は出ないだろう…」と請求せずに終わる方もいますが、実際には車両保険で補償されるケースは少なくありません。
事故後は、現場の状況を写真に残し、必ず保険会社・代理店へ相談しましょう。
適切な補償が受けられるよう、プロがサポートしてくれます。
ファイナンシャルプランナーによるコメント
クマの出没が増える今、事故に対する備えも「地域リスク」あるいは「自然災害リスク」として、自分にも起こり得るリスクと捉える必要があります。
特に車両保険は、一般型か限定型かによって、動物との接触に対する補償範囲が異なるケースもあります。
ご自身の保険証券を一度チェックし、“動物との事故”がどこまでカバーされているか確認することをおすすめします。
安心して運転できる環境づくりのため、早めの見直しが安心につながります。また、道路上で野生動物が死亡している、いわゆるロードキルを見かけたら、警察や役所に通報することが望ましいことも知っておきたいところです。

| 監修者 | 畠中 雅子 (はたなか まさこ) |
|---|---|
| Webサイト | ファイナンシャルプランナー 畠中雅子のミニチュアワールド見学ブログ+観光列車乗車ブログ |
| SNS | |
| プロフィール | ファイナンシャルプランナー(CFP®)。大学時代にフリーライター活動をはじめ、1992年にファイナンシャルプランナーになる。FP資格取得後は、数多くのメディアへの寄稿や監修業務。セミナー、相談業務などを行う。メディアへの掲載、登場回数は1万回を超えている。著書は「70歳からの人生を豊かにするお金の新常識」(高橋書店)ほか、70冊を超える。大学院在学中にソルベンシーマージンに関する論文を執筆したことから、保険分野の仕事も数多く手がけている。 |













