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火災保険の基礎知識

新築住宅の火災保険:必要性と選び方を徹底解説

新築住宅を購入した際、多くの方が火災保険への加入を検討すると思います。実際に、内閣府の統計によると82%の方は火災保険や共済に加入をしています。しかし、火災保険がなぜ必要なのか、どのように選べばよいのか、そしてその補償内容や保険金額の設定方法について理解しておくことが大切です。本記事では、新築住宅の火災保険に関する必要性と選び方を徹底解説します。

※ 内閣府「いざというときに備えて保険・共済に加入しよう」より

売りに出ている新築住宅

新築住宅でも火災保険は必要?

新築住宅のように、建物価値の高い物件では、万一の火災や自然災害などのリスクに備えるために、火災保険は非常に重要な役割を果たします。住宅ローンを借りて家を取得するケースを除けば、法的に火災保険への加入義務はありませんが、火災や自然災害による住宅や家財に対する損害リスクは避けられません。リスク管理の観点から加入することが推奨されます。
住宅ローンを利用し申し込む際には、その時点で火災保険の申し込みをおこなうことが多いため、ローンの契約前にどこの保険会社の火災保険に加入するかを、早めに決めておくことが重要です。そのためには、事前に複数の保険会社の見積もりをとって比較しておくのがよいでしょう。

法律上の加入義務はないがリスク管理として重要

新築住宅に限らず、火災保険の加入は法律で義務付けられてはいませんが、住宅の火災や災害による被害は大きな損失を伴うため、リスク管理として加入することが望まれます。特に、自然災害や盗難、事故などのリスクが発生してしまった場合には火災保険は重要な役割を果たします。また、自分の家の火災が原因で近隣住居を延焼した場合も、その補償の一部を保険で賄うことが可能です。

火災保険で受けられる補償内容

火災保険における代表的な補償内容は以下の通りです。

  • 火災、破裂・爆発:火災、破裂・爆発による建物や家財に対する損害
  • 落雷:落雷による建物や家財への損害
  • 風災・雹(ひょう)災・雪災:強風による損害や雪の重みや雹(ひょう)による建物の破損などによる損害
  • 水災:集中豪雨や洪水・高潮・土砂崩れなどによる建物や家財への損害
  • 盗難:空き巣や強盗の侵入時に壊された窓ガラスや盗難物

    ※ 現金、小切手、印紙、切手、有価証券、手形、プリペイドカード、商品券、電子マネー、乗車券等(定期券を除きます。)、預貯金証書(預金証書または貯金証書をいい、通帳およびキャッシュカードを含みます。)は補償されません。

  • 水濡れ:配水管が詰まって破裂・漏水した際の損害や上階の水漏れによる損害
  • 物体の落下・飛来等/騒擾(じょう):建物外部からの物体の落下・飛来・衝突、自動車の飛び込みや、騒擾(じょう)デモ行為などに伴う破壊行為等による損害

火災、落雷、風災などのリスクに備える

新築住宅を建てた場合、特に火災や自然災害のリスクに備えることが大切です。火災はもちろんですが、落雷や強風、豪雨などの自然災害にも注意が必要です。過去5年間でも26件※の激甚災害に指定される災害が発生がしており、ほとんどが大雨や台風による豪雨災害となっております。お住まいの地域で過去にどんな自然災害があったかや災害リスクがあるのかをあらかじめ確認し、適切な補償を選ぶことが求められます。

※ 出典:内閣府「過去5年の激甚災害の指定状況一覧」より

地震保険を付帯することで、地震のリスクに備える

火災保険には、地震による損害は補償内容に含まれません。そのため、地震保険を併せて契約することで、地震や噴火、これらによる津波によって生じた損害にも対応できます。地震保険を契約していない場合、上記の災害によって建物や家財が損害を受けた際の補償を得られないため、地震のリスクが高い地域では地震保険の加入は必須と言えるでしょう。

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火災保険の保険金額の決め方

火災保険の保険金額は、建物や家財の価値に基づいて設定します。新築住宅の場合、新築住宅の場合、物件購入時の価格に基づいて設定することが多いですが、再建築にかかる費用や建築資材の価格も考慮するべきです。適切な保険金額を設定することで、万一の際に再建築が可能な金額を確保できます。

建物の補償額の決定方法

建物の補償額の決定方法には以下2つの評価方法があります。

  • 新価(再建築価額):新築時と同じ水準の建物を再建築するのに必要な金額(材料費・工賃など含む)
  • 時価:再建築価額から経年劣化を差し引いた現状相当の金額

家財の補償額の決定方法

家財の補償額は、「買い替え金額(再取得額)」による評価方法が主になります。家具や家電、衣類などを再取得するのに必要な金額をざっと積算し設定します。または、各保険会社では世帯主と家族構成に応じた家財の「簡易評価表」を示しているため、目安額を基に実態に応じた調整を行い評価額を決定します。

新築住宅の火災保険の選び方

新築住宅の火災保険を選ぶ際には、まず補償内容をしっかりと確認し、自分のライフスタイルに合ったプランを選ぶことが大切です。次に、保険期間や支払方法などの条件を確認し、納得できるプランを選択しましょう。保険料が高すぎるあまり、生活を圧迫してしまうようでは本末転倒です。総額は高くなりますが分割払にするなど、補償内容以外にも必要なものがなんなのか見極めることも重要です。また、保険会社によって特約やサービスも異なるため、複数の保険会社を比較して選ぶことが重要です。

補償内容を確認し、自分に合ったプランを選ぶ

火災保険を選ぶ際には、自分の住宅の立地や周辺環境、ライフスタイルを考慮して、必要な補償内容を選ぶことが重要です。大災害が過去に発生した、あるいは災害リスクの多い地域に住んでいる場合は、リスクに応じた補償を付帯する必要があります。

保険期間や支払方法の工夫

保険期間や支払方法も選択肢によって異なります。長期契約を結ぶことで保険料が割安になるので、将来的な費用の負担を考慮して決めましょう。また、支払方法についても、一括払い、月払い、年払いなどあるため自分に合った方法を選びましょう。

新築住宅の火災保険加入のタイミングと手続き

新築住宅に火災保険を加入するタイミングは、入居日(引き渡し)に合わせて保険を開始するのが一般的です。契約前には、補償内容や保険金額、支払方法をしっかりと確認し、手続きを行いましょう。また、住宅ローンを利用している場合は、金融機関に確認しておくことが大切です。

火災保険の契約時に確認すべきポイント

火災保険の契約時に確認すべきポイントは以下の通りです。

  • 補償内容やその補償範囲
  • 保険金額が適切な価格になっているか
  • 保険期間や支払方法
  • 特約などが過剰・あるいは不足していないか

これらのポイントをしっかり確認した上で契約を結びましょう。

ファイナンシャルプランナーによるコメント

家を保有していれば、欠かせないのが火災保険です。最新の調査では、年間に1600万件を超える新規契約が結ばれています(損害保険料算出機構統計表2023年度)。住宅を建てて間もないうちに、万が一、火災が発生してしまったら、住宅ローンの残高がほとんど減っていない中で、新たな借り入れの必要が出てしまうかもしれません。そのようなときでも火災保険に加入していれば、新価(建て直しができる価格)で見積もられた保険金が受け取れるのが一般的です。補償内容や保険金額を適切に設定し、自分に合ったプランを選ぶことで、安心して新築住宅での生活をスタートさせることができるでしょう。

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監修者 畠中 雅子
(はたなか まさこ)
Webサイト ファイナンシャルプランナー 畠中雅子のミニチュアワールド見学ブログ+観光列車乗車ブログ
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プロフィール ファイナンシャルプランナー(CFP®)。大学時代にフリーライター活動をはじめ、1992年にファイナンシャルプランナーになる。FP資格取得後は、数多くのメディアへの寄稿や監修業務。セミナー、相談業務などを行う。メディアへの掲載、登場回数は1万回を超えている。著書は「70歳からの人生を豊かにするお金の新常識」(高橋書店)ほか、70冊を超える。大学院在学中にソルベンシーマージンに関する論文を執筆したことから、保険分野の仕事も数多く手がけている。