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法定12ヵ月点検(1年点検)は必ず受けなければいけないの?

自動車の点検を行っている

「自動車保険は比べて選べば必ず安くなる!」
そういう印象を持っている方が多いと思う。さて自動車保険の節約に成功したあなたには次なる疑問が生まれたはずだ。結構な費用がかかる「12ヵ月点検」。どうしてもしないといけないのだろうか?そういう疑問にお答えして、節約アドバイスをひとつお教えしよう。

日常的な点検は自分で。法定点検はプロに

車検は強制的に受けなくてはならないユーザーの義務。しかし案外迷うのが『12カ月点検』である。「12ヶ月点検を受けないと検挙されてしまう」と信じている方もいるようですが、そんなことはない。
もちろん法律的には「使用者は12カ月点検を行わなければならない」とされている。ただ12ヶ月点検の場合、罰則もないのだ。
だからといって、そのまま乗ることはお勧めできない。そこで、日常的な点検は自分で、法定点検はプロに任せよう。

過去には自分でできる簡単な項目もあったが、そういったことは現在は対象としておらず(正確にはドライバーが日常的に確認しておくこと)、車を詳細にみるための施設・器具とプロの目線が必要なのが現状だ。

現在の法定点検項目

かじ取り装置
  • パワーステアリング装置のベルトの緩みと損傷
制動装置
(ブレーキペダルやパーキングブレーキ)
  • ペダルの遊びや踏み込んだときの床との隙間
  • ブレーキの利き具合・パーキングブレーキレバーやペダルを、規定の力で操作したときの踏みしろ
  • パーキングブレーキレバーの効き具合
  • ブレーキホースおよびパイプの漏れ、損傷および取付状態
  • マスターシリンダーの周辺から液漏れがないか
  • ドラムとライニングの隙間
  • シューの摺動部分およびライニングの摩耗
  • ディスクとパッドの隙間
  • パッドの摩耗
走行装置
(タイヤやホイール)
  • タイヤの亀裂や損傷、偏摩耗がないか
  • ホイールナットおよびホイールボルトの緩み
動力伝達装置
  • クラッチペダルの遊び、切れたときの床との隙間
  • トランスミッションおよびトランスファー本体周辺や、オイルシール部からオイル漏れがないか
  • 連結部に緩みがないか
電気装置
(点火プラグ等)
  • 点火プラグの電極の汚れ、損傷や摩耗がないか
  • 点火時期が適切であるか
  • ディストリビューターのキャップの状態の確認
  • バッテリーのターミナル部が、接続不良になっていないか
原動機
(エンジン等)
  • エンジン本体の排気の状態
  • エアクリーナーエレメントの状態
  • シリンダーヘッドカバー、オイルパン、ドレンプラグなどからオイル漏れがないか
冷却装置
  • ファンベルトの緩みと損傷
  • ラジエター、ウォーターポンプ、ラジエターホース、ヒーターホースなどから水漏れがないか
エキゾーストパイプとマフラー
  • 取付部、接続部など、各部に緩みがないか
車載式故障診断装置
  • スキャンツールを使い、自動運転技術や安全装置に異常がないか

点検前に知っておきたい、車のトラブル

日常点検を始める前に車のどこが事故や故障するか覚えておいて損はない。知っているだけで、点検に対する気持ちも大幅に変わると思う。下記は(一社)日本自動車連盟(JAF)が、令和4年9月から11月までの間に発生した自動車の路上故障について、装置別及び部位別の故障発生状況の分析を行ったものである。

一般道、高速道路ともにタイヤのパンクが多く、過去の統計からもタイヤの故障発生件数の割合が高いことから、点検時にタイヤの摩耗量や外観の傷の確認及び空気圧の確認等の日常点検を確実に実施することにより、路上故障の発生を減らす事ができる。
もう一つの特徴は一般道でバッテリー切れの占める割合が圧倒的に上がる。今使っているバッテリーがいつ購入したものか定期的に把握をすれば、こういった事故も未然に防ぐことが可能だ。

一般道路における故障部位別発生件数の割合 ベスト5

順位 部位 発生率 主な故障状況
1 タイヤ 33.4%
  • パンク、バースト
  • 空気圧不足
2 バッテリー 29.0%
  • 過放電
  • 破損、劣化
  • 端子部接続不良
  • 液不足
3 オルタネータ 4.8%
  • ブラシ不良
  • レギュレータ不良
  • ダイオード不良
  • コイル断線
4 冷却水 1.6%
  • 不足、水漏れ
  • 汚れ
  • 凍結
5 クラッチ 1.3%
  • すべり
  • オイル漏れ
  • ワイヤ(リンク)不良
  • 切れ不良

高速道路における故障部位別発生率 ベスト5

出典:国土交通省
順位 部位 発生率 主な故障状況
1 タイヤ 50.6%
  • パンク、バースト
  • 空気圧不足
2 オルタネータ 3.9%
  • ブラシ不良
  • レギュレータ不良
  • ダイオード不良
  • コイル断線
3 冷却水 3.0%
  • 不足、水漏れ
  • 汚れ
  • 凍結
3 潤滑油 3.0%
  • オイル不良
  • オイルパンからの漏れ
5 トランスミッション(A/T) 2.2%
  • ギヤ操作不能
  • オイル漏れ・不足
  • 異音

日常点検項目は?

日常的に点検すべき15項目は国土交通省のページで公開をされている。こちらをご覧いただければわかるが、エンジンから始まり、タイヤ、車内へとみていくことになる。

日常点検を自分で行うメリット

ひとつひとつの項目は車の事故を未然に防ぐことにつながるからやっておいて損はないし、定期的に車を観察する習慣が身につけばちょっとした変化に気が付くこともできる。自分で解決できないことは近くのディーラーや修理工場に相談して、ベストな状態を維持しよう!