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値上げを見つめる人

保険会社はなぜ値上げするのか?

自動車保険は、保険契約の対象車種や契約者の等級などによって保険料が違い、わかりにくい部分があります。さらに、運転者を限定する特約があります。これは、保険契約の対象となっている自動車を運転する人を一定の範囲内に限定することで、保険料を割引する制度です。限定の範囲は、大きく分けて2種類があります。1つは年齢による限定で、もう1つは主な運転者と、その他運転者の範囲を限定する事です。

運転をする人を限定すると、保険料が割安に

年齢による限定は、保険会社によって異なりますが、「限定なし」「21歳以上」「26歳以上」「30歳以上」「35歳以上」などが多くなっています。限定される年齢が高いほど保険料は安くなります。これは、若い人ほど事故の発生確率が高いからです。
主な運転者と、その他運転者の範囲の限定では、「限定なし」「家族限定」「本人・配偶者限定」 「本人限定」 などの区分です。運転する対象者を狭めるほど保険料は割引されます。もちろん、対象を限定しているにも関わらず、それ以外の人が運転をして事故を起こした場合は補償の対象になりません。対象外の人には運転をさせないようにする必要があります。
このうち、「家族限定」の特約は、なかなか使い勝手が良い〝すぐれもの〟でした。「家族」の範囲に含まれるのが、「記名被保険者」「記名被保険者の配偶者」「記名被保険者またはその配偶者の同居の親族」「記名被保険者またはその配偶者の別居の未婚の子」となっています。つまり、同居している家族はもちろんのこと、別居している大学生の子供などが帰省した際に運転しても、OKだということです。
しかも年齢による限定では、対象になっているのが「同居の親族」までです。別居している子供は、年齢による限定の範囲から外れていても、補償の対象となるのです。例えば、自宅に住んでいるのは夫婦だけで、別居している大学生の子供が帰省した時だけ運転をする、という場合、年齢については「35歳以上」で、「家族限定」とすることができます。子供が未婚であれば、35歳未満でも、帰省した際に運転ができるのです。たまにしか運転しない別居の子供のために、わざわざ年齢による限定の範囲を下げておく必要はないのです。

特約の区分変更で「家族限定」が廃止に

このように、自宅を出た未婚の子供がいる家族には重宝されていた「家族限定」ですが、2018年から2019年にかけて、廃止する保険会社が相次いでいます。
時代の流れとともに、家族構成が変化しており、単身世帯が増えてきました。そこで、補償の対象者を「記名被保険者」のみに絞った「本人限定」という特約を設けました。運転する対象者が絞られる「本人限定」が、一番割引率が大きくなります。ある保険会社では、「限定なし」に比べて「本人・配偶者限定」は約7%引きとなっているのに対し、「本人限定」は約8%引きとなりました。
この特約を新設した保険会社では、あわせて「家族限定」の特約を廃止しています。そのため、同居の家族が運転する場合はもちろん、別居の子供が帰省した時だけ運転する場合も「限定なし」としなければならなくなりました。あくまで〝特約〟の見直しであり、保険の契約を改定したわけでも、保険料の値上げをしたわけでもない、ということで、大きくは公表していない保険会社もあります。ただ、子供が運転する可能性のある人にとっては、更新の際に特約を変更する必要があり、実質的には値上げです。更新の際に驚いた人も多いことでしょう。
一方、今まで「本人・配偶者限定」を選んでいた一人暮らしの人は、「本人限定」にすることで、さらに保険料が割安となります。

特約区分を変更した保険会社での更新

特約区分を変更した保険会社での更新

自分に合った保険会社に見直しを

このような特約の見直しを行ったのは、すべての保険会社ではありません。今までどおりに「限定なし」「家族限定」「本人・配偶者限定」の区分としているところと、「限定なし」「本人・配偶者限定」「本人限定」の3区分とした保険会社があります。
家族が運転する可能性がある場合は、更新の際にやむなく「限定なし」を選ぶ必要はありません。区分を変えていない保険会社に乗り換えるとよいでしょう。今年は変更を見送ったものの、来年に変更されてしまっては、また乗り換えなければなりませんので、そのあたりの保険会社の意向も把握しておきたいものです。
一方、今まで「本人・配偶者限定」を選んでいた一人暮らしの人で、契約している保険会社がまだ特約の区分を変更していないのなら、これを機会に「本人限定」を設けた保険会社に変更するとよいでしょう。特約区分の変更は、大手損保、ネット損保などでの違いはなく、保険会社によってまちまちです。いくつもの保険会社の商品を扱っている保険代理店で確認するのがよいでしょう。


村井 英一

大学卒業後、大手証券会社にて10年以上資産運用相談を受ける。独立後はFPとして、資産運用はもとより、ライフプラン、保険、住宅ローンなどを幅広く手掛ける。講演講師として全国を飛び回りながら、執筆も多数行っている。相談業務では、相談者の立場に立って、その方にあった提案を行うことをモットーとしている。


本コラムはファイナンシャルプランナーが最近の自動車保険の動向について注意すべき点をまとめたものであり、詳細は各損害保険会社のホームページやパンフレット等をご確認ください。

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