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家計・暮らし

高額療養費制度の自己負担上限額が引き上げられた場合、どの程度上がる予定だったのか気になります。

電卓の上で悩んでいる男性の写真

田嶋 美貴さん(仮名 38歳 会社員)のご相談

約10年前にスキーで足首を骨折して手術し、3週間入院しました。その際は、差額ベッド代のかからない6人部屋だったこともあり、高額療養費制度が適用されたため、病院窓口での自己負担金額が約6万円程度だったと記憶しています。当時の年収は約300万円でしたが、年収により自己負担上限額が決まっていると聞きました。私の現在の年収(380万円)での自己負担上限額はいくらになるのでしょうか。また、今年から自己負担額の上限が上がる予定は見送られたとのニュースがありましたが、私の場合はどれくらい自己負担の金額が上がる予定だったのか気になります。

田嶋 美貴さん(仮名)のプロフィール

家族構成 年収
本人(38歳 会社員) 約380万円
保険
健康保険被保険者証あり/医療費の窓口負担3割
保険者名称:全国健康保険協会(協会けんぽ)千葉支部
髙柳万里先生写真

髙柳 万里
(たかやなぎ まり)先生

ファイナンシャル・プランナーからの
アドバイスのポイント!

  • 2025年8月の改定(所得区分に応じた自己負担上限額の引き上げ)は見送られることになりました。
  • 自己負担上限額は、年齢や所得により異なります。
  • 治療が長期に渡る場合、医療費の負担を軽減する仕組みがあります。
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年収380万円の場合、2025年8月以降の世帯ごとのひと月の自己負担上限額は約9%上がる予定でしたが、今後の方針は未定です。

田嶋さん、この度はご相談ありがとうございます。

国会でも大きく取り上げられた『高額療養費制度』の自己負担上限額の引き上げについては国民の関心が高いテーマということもあり、連日ニュースで報道されましたね。

2月28日の衆議院予算委員会では、石破総理大臣は本年8月からの引き上げは予定通り行うとしていました。しかし、患者団体等や与野党からの意見をふまえ、3月7日に「本年8月からの見直し全体について、実施を見合わせることを決断した」と述べ、高額療養費制度の8月からの引き上げを見送ったうえで、本年秋までに改めて方針を検討し、決定すると表明しました。ひとまずは現行の制度が維持される事となり、患者団体の方々からは総理の決断に感謝する声が聞かれています。

田嶋さんも以前適用されたことがある『高額療養費制度』について、まずは基礎知識として、制度の概要をご説明します。

高額療養費制度とは

高額療養費制度とは、家計に対する医療費の自己負担が重くなりすぎないように一定の上限金額を設定するしくみです。医療機関や薬局の窓口で支払った額が、ひと月(月の初めから終わりまで)で上限額を超えた場合に、その超えた金額を支給する制度です。

上限額は年齢や所得により異なります

【70歳未満】
所得区分 自己負担上限額(月額) 多数回該当の場合
年収約1,160万円以上 252,600円+(医療費-842,000円)×1% 140,100円
年収約770万円~約1,160万円 167,400円+(医療費-558,000円)×1% 93,000円
年収約370万円~約770万円 80,100円+(医療費-267,000円)×1% 44,400円
年収約370万円以下 57,600円 44,400円
住民税非課税 35,400円 24,600円

田嶋さんの場合、現在の年収が約380万円とのことですので、所得の適用区分に該当する欄を確認すると、ひと月の上限額は、80,100円+(医療費-267,000円)×1%となります。

例えば、田嶋さんのひと月の医療費が100万円かかった場合、窓口負担が3割ですので、支払うべき医療費は30万円となります。ここで高額療養費制度が適用されると、
〈所得区分による計算式〉 80,100円+(1,000,000円-267,000円)×1%=87,430円
となりますので、田嶋さんの自己負担限度額は87,430円で済むことになります。
田嶋さんもご経験の通り、患者さんにとっては、経済的負担が大幅に軽減される大切な制度となっています。

高額療養費制度を利用するには

病院窓口でいったん自己負担分(3割)を支払い、後日申請する方法と、事前に『限度額適用認定証』を提示し、窓口での支払額を自己負担上限額までとする方法があります。
なおマイナ保険証を利用することで、患者本人が事前に『限度額適用認定証』の書類申請手続きをする必要がなくなります

限度額適用認定証とは

限度額適用認定証とは、医療機関等の窓口での支払いが高額になる場合に、自己負担上限額を超える支払いを免除するために医療機関へ提出するものです。医療費が高額になりそうな場合は、事前にご自身の健康保険の保険者に限度額適用認定証の発行を申請の上、入院前までに準備しておくことが望ましいとされています。

高額療養費の支給対象となる医療費について

保険適用される診療に対して患者が支払った自己負担額が対象となりますが、食費・雑費・差額ベッド代・先進医療にかかる費用等は、高額療養費の支給対象外です。
なお、70歳未満の田嶋さんの場合、ご自身の自己負担額を合算するためにはレセプト(月単位で医療機関や薬局が作成する請求書)1枚当たりのひと月の自己負担額が21,000円以上であることが必要です。また、高額療養費制度は、レセプトを基に患者の窓口負担額を把握することで、かかった医療費をひと月単位で軽減する制度です。月ごとに計算するので、月をまたいで治療した場合は合算ができない点には注意が必要です。合計すれば高額療養費制度の対象になる金額であっても、月ごとで達していなければ適用対象になりません。緊急性がなく、入院・手術の日程がご自身で選べる場合は、月をまたがずに完結するよう、なるべく月初にしておくと良いかもしれませんね。

高額療養費制度では、さらに負担を軽減するしくみがあります。

その① 世帯合算

ひとり1回分の窓口負担では上限額を超えない場合でも、複数の受診や同じ世帯にいる他の方(同じ医療保険加入者に限る)の受診について、窓口でそれぞれが支払った自己負担額を一か月単位で合算することが可能です。合算額が一定額を超えたときは、超えた分を高額療養費として支給します。なお70歳未満の方の場合、21,000円以上の自己負担のみ合算されます。

その② 多数回該当

過去12か月以内に3回以上、自己負担上限額に達した場合は、4回目から「多数回」該当となり、その月の負担の上限額がさらに下がります
田嶋さんの場合では、80,100円+(医療費-267,000円)×1%
となっていた上限額が、多数回該当となると上限額「44,400円」となり、より経済的負担を軽減するしくみとなっています。

当初予定されていた高額療養費制度の見直し内容について

当初予定されていた見直しの内容についてご説明します。
厚生労働省保険局が令和7年1月23日に発表した資料によると、高齢化や高額薬剤の普及等を背景として高額療養費は年々増加した結果、保険料負担が増加してきた事実が述べられています。そこで、セーフティネットとしての高額療養費制度の役割を維持しつつ、全世代の被保険者の保険料負担を軽減する観点から、以下の2点の見直しが予定されていました。

  • 各所得区分ごとの自己負担限度額の引き上げ(2025年8月以降)
  • 各所得区分の細分化→緩和措置として2段階で引き上げ予定(2026年8月/2037年8月以降)

出典:厚生労働省保険局 高額療養費制度の見直しについて

田嶋さんの場合、2025年8月以降は、
自己負担上限金額 80,100円+(医療費-267,000円)×1% が、
自己負担上限金額 88,200円+(医療費-294,000円)×1% となる予定でした。

【70歳未満】
所得区分 自己負担上限額(月額) 多数回該当の場合
年収約1,160万円以上 290,400円+(医療費-968,000円)×1% 161,100円
年収約770万円~約1,160万円 188,400円+(医療費-628,000円)×1% 104,700円
年収約370万円~約770万円 88,200円+(医療費-294,000円)×1% 48,900円
年収約370万円以下 60,600円 46,500円
住民税非課税 36,300円 25,200円
≪令和7年8月~令和8年7月≫

当初の方針では、2026年以降は所得区分がより細分化する予定となっていました。田嶋さんの年収が変わらない場合、
自己負担上限金額 88,200円+(医療費-294,000円)×1% となる予定でした。

今回は、総理の決断により本年8月以降の制度改正は見送られる事となりましたが、今後の方針は未定です。
実は、数年に一度見直しされている高額療養費制度。その都度、自己負担限度額の引き上げや所得区分の細分化が段階的に実施されてきました。
誰しも、病気やケガと無縁ではいられません。患者の立場で医療費を負担する際に、大切なセーフティネットとなる『高額療養費制度』については、国民全体で今後の動向をしっかり見守りたいものですね。

※ 2025年3月時点の情報です。

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髙柳 万里(たかやなぎ まり)AFP

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